【メンテナンス】バックフラッシュ|週1回の逆流洗浄|Rancilio Silvia Pro X

CL2サイクル中にグループヘッドからお湯が流れ落ちる様子
cafe-water

毎日エスプレッソを淹れていると、「抽出後の掃除はどこまでやればいい?」「グループヘッド内部は見えないけど大丈夫?」と気になりませんか。

答えは 週1回のバックフラッシュ(逆流洗浄) です。コーヒーかすや油分を内部から洗い流すことで、雑味や目詰まりを防ぎ、マシンの寿命を延ばします。

この記事では、17年のエスプレッソ実践経験をもとにRancilio Silvia Pro X でのバックフラッシュ手順を、必要な道具・頻度・トラブル対処法まで含めて具体的に解説します。

バックフラッシュとは

バックフラッシュ(逆流洗浄)は、下記を清掃します。

グループヘッド:前面の抽出口(お湯を均等供給)

Rancilio Silvia Pro X 内部の真鍮製グループヘッドと配管

真鍮の部分がグループヘッドで、ポルタフィルターを固定する部分になります。お湯をシャワースクリーン(網)を通してコーヒー粉に均等に供給し、抽出を制御します。ガスケット(硬めのゴムのOリング)は、グループヘッドと密着させ約9気圧の抽出圧を逃さない大事な部品です。

ソレノイドバルブ:内部3ウェイバルブ(圧力解放役)

Rancilio Silvia Pro X 内部の真鍮製グループヘッドと配管
Silvia Pro X のソレノイドバルブ(3ウェイバルブ)周辺

電磁バルブ(3ウェイバルブ)で、抽出終了後に圧力を大気に逃がします。抽出後に、空気と水が勢いよく排出されます。これによりポルタフィルターの取り外しがスムーズになります。バックフラッシュで洗浄対象の中心部品となります。

ディスチャージパイプ:下部の排水管

ディスチャージパイプから排水されたお湯がドリップトレイに溜まった様子

中央付近から空気と水を排出します。

バックフラッシュと石灰除去の違い

バックフラッシュはコーヒー由来の有機汚れ(オイル・粉末)を逆流で洗浄する作業、石灰除去(デスケーリング)はボイラー内の水垢を酸で溶かす作業で、それぞれ別のメンテナンスです。混同せずそれぞれ実施しましょう。

項目バックフラッシュ石灰除去
対象汚れオイル・粉末水垢(ミネラル)
頻度週1回 or 毎日(業務利用時)1ヶ月
使用剤粉末 or タブレットクエン酸等

必要な洗浄剤と道具

洗浄剤

バックフラッシュに必要な道具一式(CAFIZA・ポルタフィルター・ラバーブラインドディスク・シングルバスケット)
シングルバスケットにラバーブラインドディスクを置きCAFIZA洗浄剤を5g計量

CAFIZA(カフィーザ)はエスプレッソマシン用の特殊な洗浄剤です。代替品として一般的な家庭用洗剤や食品(クエン酸など)は全く推奨されませんエスプレッソマシンの内部構造や材質に適した専用の洗浄剤を使用することが重要です。マシンの故障や材質の劣化を招く恐れがあるため、メーカーの指示に従ってください。

ラバーブラインドディスクとシングルバスケット

ラバーブラインドディスク(左)とシングルバスケット(右)

マシン購入時に付属として付いてくるラバーブラインドディスク(左)とシングルバスケット(右)です。バケットにブラインドディスクを置くと、抽出口が塞がれて洗浄水が内部を逆流します。他にブラインドバスケットと呼ばれる穴の開いていない専用のバスケットもあります。

ブラシ

グループヘッド清掃用の柄が長い丸ブラシ(上)と付属の短いブラシ(下)

グループヘッドの掃除には専用のブラシを使います。付属のブラシ(下)は柄が短くお湯で火傷するリスクがあるため、柄の長い丸ブラシ(上)を使用しています。

詳細手順(F.01:バックフラッシュ洗浄)

Rancilio Silvia Pro Xは、バックフラッシュを行うプログラムがありますので、手順に沿って実施していきます。下記は、設定変更やプログラムを表しています。又、エラー表示を一緒に記載しておきます。

メニュー説明
t1コーヒーの温度変更
(85~100℃/1℃単位)
t2スチームボイラーの温度変更
(120~125℃/1℃単位)
F.01バックフラッシュ洗浄
「CL1」サイクル1・・・洗浄剤で洗浄
「CL2」サイクル2・・・ヘッドお湯洗浄
「CL3」サイクル3・・・排水お湯洗浄
F.02起動タイマーの管理
(オフまたは 0.5~24 時間/0.5 時間単位)
F.03コーヒーボイラーを空にする
F.04 スチームボイラーを空にする
F.05自動シャットダウンの管理
(オフまたは 15、30、60、120 分)
F.06温度単位の変更
(-:華氏/+:摂氏)
F.08ソフトインフュージョン(蒸らし機能)の設定
(OFF または 2~6 秒/1 秒単位)
エラーコード一覧説明
H2Oタンクに水がない
E01スチームボイラー水入れ不具合
E02コーヒーボイラー加熱不足
E03スチームボイラー加熱不足
E04コーヒーボイラー過熱
E05スチームボイラー過熱
E06スチームボイラー温度センサー不具合
E07スチーム温度センサー不具合
E08コーヒーボイラー温度センサー不具合
E09コーヒー温度センサー不具合
水タンクを満タンする。
エスプレッソマシンを抽出温度まで上げる。
Silvia Pro X 操作パネル:抽出温度93℃の表示
お湯の空出しを行いながら、ブラシでグループヘッド底を清掃する。
ブラシでグループヘッド底面のコーヒーかすを払う様子
シングルバスケットに、ラバーブラインドディスクをつまみが上になるように置き、洗浄剤を5g入れ、マシンにセットする。
シングルバスケットにラバーブラインドディスクを置きCAFIZA洗浄剤を5g計量
洗浄剤入りポルタフィルターをグループヘッドに装着
バックフラッシュを行うプログラムを起動させる。
① -ボタンと+ボタンを同時に 3 秒間押す。
 「t2」表示になる。
②+ボタンを1回押し「F.01」を表示させ、抽出ボタンを押す。
-ボタンと+ボタンを同時に3秒間押す操作(プログラム起動)
プログラム起動直後のt2表示画面
+ボタンで切り替えたF.01(バックフラッシュ洗浄)表示
「CL1」が実行される。5回動作。
洗浄作業。
F.01実行中のCL1(サイクル1:洗浄剤洗浄)表示
CL1サイクル中、ドリップトレイに排出された洗浄液
CL1サイクル終了後のポルタフィルターと残った洗浄液
「CL1」が終了し、「CL2」表示になる。
③水洗いでキレイにし、ラバーブラインドディスクを外す。
④マシンにセットし、抽出ボタンを押す。
ラバーブラインドディスクを外し空のシングルバスケットを再セット
CL2(サイクル2:グループヘッドお湯洗い)実行中の表示
「CL2」が実行される。5回動作。
グループヘッドのお湯洗い作業。
CL2サイクル中にグループヘッドからお湯が流れ落ちる様子
「CL2」が終了し、「CL3」表示になる。
⑤水洗いでキレイにし、ラバーブラインドディスクを置く。
⑥マシンにセットし、抽出ボタンを押す。
CL3(サイクル3:排水お湯洗い)実行中の表示
「CL3」が実行される。3回動作。
バルブ・排水のお湯洗い作業。
CL3サイクル終了後、ディスチャージパイプから排出されたお湯
⑦排水されたお湯に洗浄剤のぬめりが無ければ完了。

ぬめりがある場合、ラバーブラインドディスクの有り、無しを1回ずつ10秒程度お湯を通します。
バックフラッシュ完了時の排水(洗浄剤のぬめりがないことを確認)

トラブル対処法

トラブル対処法
泡溢れ洗浄剤の入れすぎ。洗浄剤無しで実行する。
圧力上がらず抽出圧漏れ。グループヘッドのブラシ洗浄、ガスケット交換、シャワーヘッド交換
異音・漏れバイブレーションポンプ交換、バルブ交換
ディスチャージ(排水口)詰まり針金清掃、デスケール(石灰除去)併用

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ABOUT ME
ひろ
ひろ
おうちカフェ・ディレクター
2009年、19歳でエスプレッソに出会って17年。デロンギ→Rancilio Silvia→Silvia Pro Xと機材を渡り歩き、現在はイタリアから個人輸入した家庭用最高峰マシンを実機運用中。機材の分解・修理も自前でこなす実践派。富澤商店の素材を使ったレシピと抽出技術を検証・記録しています。
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